「毎日、仕事に追われて終わる」——その虚しさに効きます
気づけば、一日が終わっている。忙しく働いたはずなのに、達成感がない。そして夜、こう思うのです。「今日、私は何をしたんだろう」——。
もし、あなたがそんな虚しさを抱えているなら。『時間術大全』は、その悩みに正面から応えてくれます。
本書がまず教えてくれること。それは、**「時間は、待っていても生まれない。自分で作るものだ」**という考え方です。忙しさは、放っておくと際限なく膨らみます。だからこそ、意図的に時間を「作る」必要があるのです。この記事では、1500冊以上を読んできた立場から解説します。この時間術の本が他とどう違うのか。そして、どう活かせるのかをお伝えします。
なお、本記事では引用は最小限にとどめています。内容は評者自身の言葉での解釈・感想として書いています。
どんな本か
本書は、ジェイク・ナップ氏とジョン・ゼラツキー氏による時間術の本です。ダイヤモンド社から2019年に刊行されました(原題は「Make Time」)。著者の二人は、ただのビジネス書作家ではありません。GoogleやYouTubeで活躍したデザイナーです。「究極の効率」をデザインしてきたプロなのです。
本書が扱う問いは、とてもシンプルです。それは**「なぜ私たちは、こんなに忙しいのに満たされないのか」**というもの。原因は、現代社会の構造にあります。仕事は「多忙中毒」を生みます。スマホは「無限の泉」として時間を奪います。私たちは、その二つに挟まれているのです。
そこで本書が提案するのが、「メイクタイム」という考え方です。これは、生産性を極限まで高める技術ではありません。むしろ逆です。自分にとって本当に大切なことに、時間を使うための方法なのです。
本書には、87個もの具体的な「時間ワザ」が載っています。しかし、すべてをやる必要はありません。著者は、こう言います。自分に合うものだけを選べばいい、と。この「ゆるさ」も、本書の大きな特徴です(※これは私の解釈であり、公式の見解ではありません)。
【1500冊の目利き】この本が効く理由
時間術・タスク管理の本は、数多く出版されています。その中で、本書ならではの強みを3つに絞ってお伝えします。
理由1:「効率化」ではなく「充足」を目指す
多くの時間術の本は、こう教えます。「もっと速く」「もっと多く」と。つまり、効率化が目的なのです。しかし本書は違います。目指すのは、効率ではありません。「満足感」です。空いた時間で、さらに働く。それは本書の狙いではないのです。むしろ、大切なことに時間を使うのが目的です。「頑張っているのに満たされない」——そんな人ほど、この発想の転換に救われるはずです。
理由2:「1日1つ」に絞る潔さ
本書の中心にある考え方。それは、驚くほどシンプルです。その日の「最重要事項」を、たった一つだけ選ぶ。ただ、それだけです。多くのタスク管理術は、リストを増やそうとします。しかし本書は逆です。あえて、一つに絞ります。この割り切りが効くのです。あれもこれもと欲張らない。だからこそ、本当に大切なことに集中できます。「やることが多すぎて動けない」人に、特に響く考え方です。
理由3:「イラストとユーモア」で挫折させない
時間術の本は、堅苦しくなりがちです。しかし本書は違います。全編に、可愛いイラストが添えられています。文章にも、ユーモアがあふれています。だからこそ、読んでいて楽しいのです。挫折しにくい。この「とっつきやすさ」は、意外と重要です。どんなに良い方法も、続かなければ意味がありません。本書は、その点をよく分かっています。楽しく読めるからこそ、実践へとつながるのです。
この本をどう活かせるか
(※この項目は、評者がまだ実践していない段階のため、「体験談」ではなく「どう活かせるか」の提案としてお伝えします。)
本書の価値は、読むだけでは半分しか引き出せません。日常で試して、初めて本領を発揮します。そこで、活かし方の入口を提案します。
まず、おすすめしたいことがあります。それは、明日の「ハイライト」を一つだけ決めることです。仕事でも、趣味でも構いません。「明日はこれをやった、と思えること」を一つ選ぶのです。そして、その時間を先に確保します。たったこれだけで、一日の充実感は変わるはずです。本書はこの「選ぶ」ことを重視しているので、まずここから始めると効果を感じやすいでしょう。
さらに、もう一つ。スマホの誘惑を、物理的に遠ざけることも試しやすい活かし方です。たとえば、通知をオフにする。あるいは、別の部屋に置く。本書はこうした「気を散らすものを撃退する」工夫を数多く紹介しています。自分に合うものを、一つ試してみる。それだけで、集中の質が変わるかもしれません。
つまり本書は、「読んで納得」で終わらせない本です。読んだ翌日から、小さく試せます。そんな実践のしやすさに向いた一冊だと言えます。
おすすめできる人/向かない人
おすすめできる人
- 仕事に追われ、日々に充足感を感じられない人
- 毎日が「あっという間」に過ぎてしまうと悩む人
- スマホやネットに、つい時間を奪われてしまう人
- タスクが多すぎて、何から手をつけるか迷う人
- 堅い自己啓発書が苦手で、楽しく読みたい人
向かない人
- すでに時間管理が得意で、高度な効率化術だけを求める人
- 学術的・理論的な裏付けを最優先したい人
- 「唯一絶対の正解」を明快に示してほしい人(本書は選択式です)
正直に言えば、本書は即効薬ではありません。読んで、すぐに人生が激変するわけではないのです。むしろ、小さな習慣を積み重ねる本です。しかし、その地道さを楽しめる人にこそ、深く効きます。
あわせて読みたい本
時間術は、関連スキルとあわせて学ぶと効果が高まります。当サイトでは、次のテーマの記事も公開しています。
- 「習慣化」や「集中力」をさらに深めたい方はこちら →【サイト内リンクの目印:習慣化・集中力の本のおすすめまとめ記事】
- 思考の整理や、優先順位のつけ方を学びたい方はこちら →【サイト内リンクの目印:思考整理・タスク管理の本のレビュー記事】
まとめ:時間は「作る」もの。追われる毎日から抜け出す一冊
『時間術大全』は、「仕事に追われて充足感がない」という悩みを、”時間は自分で作るもの”という視点から解きほぐす一冊です。効率ではなく、満足。たくさんではなく、一つに集中。そして、楽しく続けられる工夫。これらを学ぶことで、日々の過ごし方が変わってきます。毎日があっという間に過ぎると感じる方こそ、一度手に取ってみる価値があります。
この本を読む方法
気になった方は、まず手に取ってみてはいかがでしょうか。
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